忘年会シーズンは「内臓が壊れやすい季節」

アルコール・食事・睡眠の乱れがつくる“見えないダメージ”とは?

12月に入り、忘年会・飲み会・会食が続くと、

  • 胃が重い・ムカムカする
  • 朝起きてもだるさが抜けない
  • 風邪をひきやすい
  • 健康診断の肝機能がギリギリ

といった「なんとなく不調」が出やすくなります。

多くの方は
「年末だから仕方ない」「飲み過ぎただけ」
で片づけてしまいますが、
その裏側では「内臓」と「免疫」と「脳」が、けっこう本気で悲鳴をあげています。

この記事では、忘年会シーズンに内臓のコンディションが崩れやすいメカニズムを、最新の知見も含めてわかりやすくまとめます。


1. アルコールが「腸のバリア」を壊し、肝臓を追い込む

1-1. 腸は“最大の免疫器官”でもある

腸は単に食べ物を消化・吸収しているだけではなく、
体内の免疫細胞の約7割が集まる「最大の免疫器官」とも言われています。

この腸には「バリア機能(腸管バリア)」があり、

  • 必要な栄養だけを通す
  • 細菌や毒素、有害物質は通さない

というフィルターの働きをしています。

1-2. アルコールは腸の粘膜をゆるめる

ところが、アルコールを多く飲むと、この腸のバリアが緩みやすくなります。

  • 腸の粘膜細胞と細胞のスキマ(タイトジャンクション)が開きやすくなる
  • その結果、本来は通さないはずの毒素(エンドトキシン)などが血液中に漏れやすくなる

この状態を「リーキーガット(腸漏れ)」と表現することもあります。

漏れ出した毒素はまず肝臓に運ばれます。
肝臓はそれを解毒しようとフル稼働するため、アルコールそのものの分解に加えて、さらに大きな負担がかかります。

1-3. 肝臓は“沈黙の臓器”だからこそ危険

肝臓は多少ダメージを受けても、痛みとしてはほとんど感じません。
「なんとなくだるい」「疲れやすい」程度のサインで済んでしまうことが多く、気付いた時にはかなり疲弊しているケースもあります。

年末に

  • 連日の飲み会でアルコール量が増える
  • 腸のバリアが弱くなる
  • 肝臓が解毒と代謝でフル稼働

という状態が続くと、
「数値に出るほどではないけれど、内臓はかなり疲れている」という“隠れ不調”が起こりやすくなります。


2. 高脂肪・高糖質メニューが「慢性的な炎症」を育てる

忘年会の食事メニューを思い出してみると、

  • 唐揚げ、フライドポテト、唐揚げ、チーズ… → 高脂肪
  • ピザ、パスタ、ラーメン、シメのご飯・うどん → 高糖質

と、「脂肪」と「糖」がセットで多くなりやすい構成です。

2-1. 食後の血糖値スパイクと中性脂肪

高糖質の食事を一気にとると、

  • 食後の血糖値が急上昇 → その後ガクッと下がる(血糖値スパイク)
  • 中性脂肪が増えやすくなる

血糖値スパイクは、

  • 食後の眠気やだるさ
  • 集中力低下
  • イライラしやすさ

とも関係していると考えられています。

2-2. 「プチ炎症」がじわじわ蓄積される

高脂肪・高糖質の食事を繰り返していると、体の中では“軽い炎症”が起こりやすくなります。

  • 血管の内側に負担がかかる
  • 酸化ストレス(サビつき)が増える
  • それが続くと、脂肪肝・メタボ・動脈硬化などの土台になる

炎症は、熱が出るような「ハッキリした病気」のイメージが強いですが、
実際には「自覚がないレベルの炎症」がじわじわ続くパターンが多く、その状態が“なんとなく不調”の背景になっていることが多いと言われています。

忘年会シーズンは、まさにこの「プチ炎症」が積み上がりやすい期間です。


3. 夜更かしで「内臓の修復タイム」が削られる

3-1. 内臓のメンテナンスは“寝ている間”に行われる

人間の体は、睡眠中に

  • 肝臓や腸粘膜などの修復
  • 免疫のリセット
  • ホルモンバランスの調整

といった、日中のダメージを回復するプロセスを進めています。

本来なら、
「日中に少し無理をしても、夜ぐっすり眠ればある程度リセットできる」
という仕組みになっているわけです。

3-2. 夜中までの飲み会で修復時間が足りない

忘年会で

  • スタートが遅い
  • 二次会・三次会で帰宅が深夜になる
  • 寝る直前まで飲食している

といった状態が続くと、

  • 睡眠時間が短くなる
  • アルコールの分解に体力を持っていかれる
  • 深い睡眠の時間が削られる

結果として、「内臓の修復に充てる時間」が足りなくなります。

そのまま連日続けば、

  • 疲れが抜けない
  • 風邪を引きやすくなる
  • アレルギー症状が出やすくなる

など、免疫のトラブルも出てきます。


4. 脱水とミネラル不足が“だるさ”に拍車をかける

アルコールには強い利尿作用があります。

  • 飲めば飲むほどトイレが近くなる
  • 水分だけでなく、ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどのミネラルも失われる

脱水とミネラル不足が進むと、

  • 頭痛、めまい、だるさ
  • 筋肉のけいれんやつり
  • 心臓や血管への負担増

といった症状につながります。

「そんなに量は飲んでいないのに、翌日ぐったりする」という方は、
この脱水・ミネラル不足の影響を受けている可能性が高いです。


5. 「飲んではいけない」ではなく「壊さない飲み方」へ

ここまで読むと、
「もうお酒は全部やめた方がいいの?」
と思うかもしれませんが、大事なのは“0か100か”ではありません。

5-1. 内臓を守るための実践的な工夫

忘年会シーズンでも内臓を守るために、次のようなポイントが有効です。

  1. チェイサー(お水・お茶)をセットにする
    • お酒1杯につき、水かお茶を1杯
    • 脱水とアルコール濃度の急上昇を防ぐ
  2. 一口目は「野菜・たんぱく質」から
    • サラダ、前菜、刺身、豆腐、焼き魚など
    • 血糖値や中性脂肪の急上昇を少しマイルドにする
  3. お腹80%でストップする習慣を持つ
    • 「少し余裕がある」くらいで終える
    • シメの炭水化物を“毎回”ではなく“特別な日だけ”にする
  4. 翌日は“内臓オフデー”をつくる
    • 朝:水+味噌汁、軽いフルーツなど
    • 昼・夜:消化にやさしい和食中心(煮物・汁物・野菜・魚)
    • 腸と肝臓に「休み時間」を与えるイメージ
  5. 軽い運動と深い呼吸で血流アップ
    • ウォーキングやストレッチ
    • 胸郭と横隔膜を大きく動かす呼吸エクササイズ
      → 内臓まわりの血流循環を高め、回復を助ける

6. 姿勢・呼吸・体幹トレーニングが内臓コンディションに効く理由

内臓のコンディションを整えるうえで、意外と見落とされがちなのが

  • 姿勢
  • 呼吸
  • 体幹(コア)

の問題です。

6-1. 猫背・反り腰は“内臓の居場所”を狭くする

長時間の座り仕事やスマホ時間が長いと、

  • 背中が丸くなる(猫背)
  • 肋骨が動かなくなる
  • 横隔膜がしっかり下がらない

といった状態になりやすくなります。

すると、

  • 内臓の動きが制限される
  • 内臓周囲の血流が低下する
  • 消化不良・便秘・ガス溜まり・胃の重さ

などの症状につながりやすくなります。

6-2. 呼吸エクササイズは“内臓マッサージ”になる

横隔膜をしっかり使った深い呼吸は、

  • 吸うたびに内臓が軽く押し下げられ
  • 吐くたびに元の位置へ戻る

というポンプのような動きで、内臓をやさしくマッサージしているような状態になります。

  • 腹圧が適切にかかる
  • 内臓の血流が良くなる
  • 自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスも整いやすい

ため、「内臓の疲れ」「胃腸の重さ」「なんとなくのだるさ」には、呼吸と姿勢の改善が非常に有効です。


7. まとめ:忘年会を楽しみつつ、内臓を守る

忘年会シーズンは、人とのつながりを深める大切な時間です。
一方で、アルコール・高脂肪高糖質の食事・夜更かし・脱水が重なり、

  • 腸のバリア機能の低下
  • 肝臓への負担増
  • 慢性的なプチ炎症
  • 免疫力の低下

といった“見えないダメージ”が蓄積しやすい時期でもあります。

ポイントは、

  • 「飲むな・食べるな」ではなく
  • 「どう飲み、どう休み、どう整えるか?」

を考えることです。

スタジオでは、

  • 呼吸と姿勢を整えるエクササイズ
  • 内臓にやさしい体幹トレーニング
  • 高齢者でも安心して続けられるコンディショニング

を通して、年末年始も「内臓から元気なカラダづくり」をサポートしています。

「忘年会を楽しみつつ、内臓も守りたい」
「来年こそ、健康状態を底上げしたい」

という方は、ぜひ一度ご相談ください。