健康寿命に役立つ神経の可塑性(かそせい)とは

最初は出来なかった運動でも繰り返し行うことで、段々と出来るようになった時、神経細胞の軸索の周りに脂質を主成分としているミエリン形成が行われます。

日本語では髄鞘(ずいしょう)形成と言います。

ミエリンの役割には「神経細胞の活動(電気信号)を素早く伝える」「軸索を保護する」「脳の高次機能に不可欠な役割を持つ」などがあり、ミエリンに何かしらの異常が来たすと「多発性硬化症」など様々な疾患を引き起こしてしまいます。

このミエリン形成を促す為には、運動にしろ学びにしろ「新しいことへの挑戦」というのは非常に大切な要素となります。

そうすることで構造的な側面では神経繊維が太くなり、脳が大きくなります。機能的な側面では頭の回転が速くなったり、創造的なアイディアが浮かぶようになります。

逆に常に同じ環境・刺激、ダラけた日常生活習慣では脳神経の機能は低下する可能性が非常に高くなります。脳神経の機能低下は「歩行」「姿勢」「コミュニケーション」「運動能力」「集中力」などにも関わってきますので、何かと便利な世の中になり、運動不足が起きやすい環境において運動によって脳機能の向上を目指していくことは非常に大切な要素だと思います。

脳の神経細胞が刺激によって変化し、新たなネットワークを形成する性質のことを「神経の可塑性(かそせい)」と表現します。

この神経の可塑性は複数の要素で構成されており、これを理解することで神経の特性がより明確になるかもしれません。

何事においてもそうですが、使われない脳神経は失われてしまい、反対に上手く使うことで脳機能はどんどん向上していきますので、これを考慮して神経の可塑性に刺激をする運動プログラムを考慮することが重要であります。

その他に、神経の可塑性を高める為には「特異性」「反復」「強度」「時間」「年齢」「転移」「干渉」という要素も大切であります。

強度に関しては慣れたエクササイズは神経の可塑性を生み出すことが難しく、集中して行わないと遂行できないような種目を行うことの方が効果は高く、一瞬で身体の変化をもたらすことが可能であります。

また「干渉」に関しては一箇所の神経に刺激が入り活性化されることで、他も同様に活性化されることが高くなります。

要するには「人間の進化においては常に新しい行動と挑戦をする」というのが心身の健康の秘訣なのかもしれません。

日々の健康づくりの参考になれば幸いです。