体内時計が整うと、ゴルフの「再現性」が上がる
睡眠・覚醒リズムとスコアの関係を“科学で”理解する
「寝不足だとスコアが荒れる」「朝イチのティーショットが当たらない」「後半に集中が切れる」
こうした現象は、メンタルや根性論だけではなく、体内時計(概日時計)と睡眠・覚醒リズムの影響を強く受けます。睡眠は“休む時間”ではなく、パフォーマンスを決める生理学的な土台です。British Journal of Sports Medicine+2サイエンスダイレクト+2
1. 体内時計は「24時間ぴったり」ではない
人の概日リズム(サーカディアンリズム)は、外部の合図が弱いと24時間より少し長くなり、生活が徐々に後ろへズレやすい(いわゆる“フリーラン”)ことが知られています。
だからこそ、毎日“時計合わせ”をしているのですが、その主役が次の2つです。
- 光(特に朝の光):体内時計を前に進め、眠気のタイミングを整える
- 夜の光:メラトニンを抑え、眠気を遅らせる(寝つき悪化・睡眠の質低下)PMC+2睡眠医学会+2
2. メラトニンは「眠りのスイッチ」だが、光に弱い
メラトニンは夜間に増えるホルモンで、睡眠開始に関与します。重要なのは、光で抑制されやすい点です。
臨床ガイドラインでも、概日リズムのズレ(例:睡眠相後退)に対してタイミングを合わせた朝の光が有効な選択肢として整理されています。睡眠医学会+2睡眠医学会+2
つまり、夜にスマホ・強い照明を浴びるほど、脳は「まだ昼」と誤認しやすくなります。ゴルフに置き換えると、翌朝の覚醒が鈍い/集中が立ち上がらない土台を自分で作ってしまう、ということです。
3. 体温リズムは「動ける時間帯」を作る
深部体温にもリズムがあり、日中〜夕方にかけて高まり、夜間〜明け方に低下する流れが一般的です。
ただし深部体温は、運動・室温・寝具・衣服・ストレスなどの影響を受けやすく、「体内時計そのもの」だけで説明できない部分もあります(=環境の設計が効く)。PMC
4. 睡眠が落ちると「技術」より先に「精度」と「判断」が落ちる
スポーツ領域では、睡眠不足が身体パフォーマンスだけでなく、認知(判断・注意・反応)や回復、ケガのリスクに関わることが整理されています。British Journal of Sports Medicine+2サイエンスダイレクト+2
そしてゴルフは、まさに「認知×精密動作」の競技です。実際に、睡眠制限がゴルフのパッティングに悪影響を示唆する研究報告も出ています。SAGE Journals
さらに、日々の睡眠の量・質が反応時間などに関連するデータもあり、睡眠が“脳のキレ”に効くことが示されています。PMC
5. ゴルファー向け:体内時計を整える実践戦略
ここからは「何をすればいいか」を、目的別に整理します。
A. “朝イチの立ち上がり”を良くする(早朝スタート対策)
結論:前夜の光を落とし、朝の光を入れる。
- 夜:照明を一段落とす/スマホの強光を避ける
- 朝:起床後に光を浴びる(屋外が理想)
これは概日リズム(メラトニン位相)を整える基本で、臨床ガイドラインでも「タイミングを合わせた光」が推奨枠に入ります。睡眠医学会+1
加えて、近年は「室内光の設計(昼は明るく、夜は暗く)」が生理学的に重要であることも提案されています。PLOS
B. “後半の集中切れ”を減らす(疲労と注意のマネジメント)
睡眠が足りない日は、後半ほど「判断・注意・反応」の落ち込みが出やすいのが典型です。アスリート領域の総説でも、睡眠不足はパフォーマンス低下と関連する、と整理されています。British Journal of Sports Medicine+1
現実的な処方箋は2つ:
- 睡眠延長(sleep extension):数日〜数週間で“技術精度・認知”が上向く可能性
- 短い昼寝(nap):夜の不足を部分的に補う
睡眠介入(睡眠延長・昼寝など)がパフォーマンスにプラスになり得ることは、レビューでまとめられています。PMC
C. “遠征・旅行・時差(国内でも)”で崩れたリズムを戻す
出張・旅行・連日の会食で睡眠が崩れると、体内時計がズレやすい。ここでも基本は光です。
- できるだけ朝の光を入れる
- 夜は照明を落として、メラトニンが出やすい環境に寄せる
概日リズムの位相調整における光の重要性は、基本原理として確立しています。PMC+1
6. 現場で使える「ゴルフ×体内時計」チェックリスト
ラウンド前日
- 夜の照明を落とす(強い光を避ける)PMC+1
- 寝る直前までスマホを見ない(最低でも“強光”を切る)
- 就寝時刻よりもまず「起床時刻」を固定する(リズムの基準点)
ラウンド当日(特に朝スタート)
- 起床→光を浴びる(外が理想)睡眠医学会+1
- 体を温めて“体温リズム”を立ち上げる(軽い歩行・呼吸)
- 眠い日は「技術練習を増やす」より「ルーティン固定」でミスを減らす(判断を減らす)
ラウンド後
- その日の夜更かしは“翌日のズレ”を生む(フリーラン方向に動きやすい)
- 可能なら睡眠時間の確保を最優先(回復が次の練習効率を決める)British Journal of Sports Medicine+1
7. ピラティスと相性が良い理由(体内時計に“乗る”整え方)
体内時計の中核は光ですが、ゴルファーの日常では「自律神経の過緊張」「呼吸の浅さ」「夜の覚醒」が睡眠の質を落としやすい。
ピラティス(呼吸・胸郭・感覚入力・力みの再学習)は、夜の“落とす”スイッチとして使いやすく、生活設計(光・行動)と組み合わせると、再現性が上がります。
スポーツ睡眠の文脈でも、睡眠衛生や介入の重要性は繰り返し指摘されています。British Journal of Sports Medicine+1
まとめ
- 体内時計は放置するとズレやすい
- 鍵は「朝の光」と「夜の光を落とす」
- 睡眠はゴルフの“精度・判断・集中”を支える土台
体験のお申し込みはこちらからお願い致します。

