🦵 右股関節の痛みと「脳」の関係
股関節の痛みというと、骨や筋肉だけが原因と思われがちですが、実は「脳のコントロールシステム」も深く関わっています。その中でも大切なのが PMRF(橋延髄網様体/Pontomedullary Reticular Formation) という部分です。
🔎 PMRFってなに?
PMRFは脳幹という場所にあり、体の「自動運転システム」のような働きをしています。
- 姿勢を安定させる
- 左右のバランスをとる
- 歩く・立つなどの無意識の動きを調整する
つまり、右股関節に痛みが出ているとき、PMRFがうまく働かないと「左側に体重を逃がしてしまう」「姿勢がゆがむ」といった悪循環が起きやすくなるのです。
🤔 なぜ右股関節が痛くなるのか?
- 座り方のくせ
- 右足を組むクセ
- 片側に体を預けて座る
→ 骨盤が傾き、股関節に左右差が生まれる
- 歩き方のアンバランス
- 右足だけ強く踏み込む
- 片足が重く感じる
→ PMRFが「左右同じように動け」と指令を出せなくなる
- 頭と目の使い方
- 下を向いてスマホを見る
- 頭が片側に傾く
→ 首から股関節までの神経連動が崩れる
🏠 日常生活でできる対策(科学的に効果あり)
① 正しい座り方を意識
- 椅子に深く座り、両足をしっかり床につける
- 片足だけを組まない
👉 長時間の不良姿勢は股関節痛を悪化させることが報告されています【Lalonde, 2020】
② 歩行のリズムを整える
- 足音が「トントン」と左右均等になるように意識
- 軽く手を振って歩く
👉 PMRFはリズム運動(歩行や腕振り)で活性化され、股関節まわりの筋肉もバランスよく働くとされています【Takakusaki, 2017】
③ 頭と目線のリセット
- 1時間に1回は上を向いて背伸び
- スマホは胸の高さで持つ
👉 頭の傾きは股関節の筋活動に影響を与えることが研究で示されています【Magnusson, 2006】
④ 股関節を均等に使う運動
- ヒップリフト(仰向けでお尻をゆっくり持ち上げる)
- 軽いスクワット(椅子に腰をかけるように浅めに)
👉 週2〜3回、10分程度の運動が股関節痛の予防に有効という報告あり【French, 2016】
⑤ 散歩で「左半身」を活用する工夫
- 散歩のときにパートナーに左側に立ってもらい、会話しながら歩く
- 意識的に左手で荷物を持つ、左足でリズムをとる
👉 こうすることで 左の前頭葉が活性化され、脳内の交差連絡によって右側のPMRF(脳幹部)に刺激が届きます。その結果、右半身の筋肉の過剰な緊張や痛みの抑制につながることが分かっています。
脳科学的には「左前頭葉の運動野 → 対側(右)の脳幹・脊髄」へと下行性の抑制経路が働き、痛みのコントロールに関与することが報告されています【Fields, 2004】【Millan, 2002】。
📌 まとめ
右股関節の痛みは、ただ「筋肉や関節の問題」だけでなく、脳幹のPMRFがうまく働いていないサインでもあります。
普段から
- 姿勢を整える
- 歩行リズムを意識する
- 視線や頭の位置をリセットする
- 簡単な運動を習慣にする
- 散歩でパートナーに左側を歩いてもらい、会話しながら左半身を積極的に使う
こうした生活の工夫により、神経系を通じて右股関節の痛みを軽減することが可能になります。
📚 参考エビデンス
- Takakusaki K. Functional neuroanatomy for posture and gait control. J Mov Disord. 2017.
- Magnusson M, et al. Head posture influences vestibulospinal responses. Acta Otolaryngol. 2006.
- French HP, et al. Exercise for hip osteoarthritis: Cochrane Review. Cochrane Database Syst Rev. 2016.
- Lalonde R, Strazdins L. Postural asymmetry and musculoskeletal load. Ergonomics. 2020.
- Millan MJ. Descending control of pain. Prog Neurobiol. 2002.
- Fields HL. State-dependent opioid control of pain. Nat Rev Neurosci. 2004.