ゴルフと肝臓の関係性

― 見えない“エネルギー工場”とスイングの深い関わり ―

はじめに

おはようございます。横浜市中区本牧原バス停前にある「横浜筋トレスタジオ」のパーソナルトレーナー、宮原崇です。
ゴルフは、年齢を問わず楽しめるスポーツとして多くの方に親しまれています。私自身もクライアントさんからクラブセットをいただき、「そろそろゴルフの基礎づくりを始めねば」と常々思っているところです。

ゴルフで注目されるのは「体幹の回旋力」や「下半身の安定性」ですが、実は内臓のコンディションもスイングやラウンド後半のパフォーマンスを大きく左右します。今回はその中でも、体の“王様”とも呼ばれる 肝臓に焦点を当てて解説していきます。


肝臓は「お酒の臓器」だけじゃない

肝臓と聞くと「アルコールの解毒」を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし実際には、それ以上に幅広く重要な役割を果たしています。

  • 小腸から吸収した栄養素を貯蔵し、必要時に供給する
  • 胆汁を生成して脂質の消化を助ける
  • 古い赤血球を分解してリサイクルする
  • 食後に熱を発して体温を維持する
  • 蓄えた糖(グリコーゲン)を全身に送り出し、スタミナを支える

こうした働きから、肝臓は全身の代謝と運動パフォーマンスを支える「エネルギー工場」と表現できます。

さらに解剖学的に見ても、肝臓は横隔膜の右下に位置し、幅25cm、高さ15cm、奥行き15cmという大きさを誇ります。体幹の可動性に影響を与えることも珍しくありません。


肝臓とゴルフスイングのつながり

1. 肝鎌状間膜と腹直筋

肝臓から左に伸びる「肝鎌状間膜(かんかまじょうかんまく)」は、シックスパックを形作る腹直筋の右側に付着しています。
右腹直筋の主な作用は 左回旋 と 体幹屈曲。これは右打ちゴルファーにおけるフォロースルーからフィニッシュへ移行する局面で大きな役割を果たします。

そのため、肝臓が疲れて硬くなると肝鎌状間膜が張り、右腹直筋の動きを制限。結果として スイングの回旋動作が窮屈になり、フォームが乱れる可能性があります。

2. 肝臓疲労と代償動作

次のような生活習慣は肝臓疲労を招きます。

  • 過度なアルコール摂取
  • 暴飲暴食
  • 解熱剤・鎮痛剤・アレルギー薬などの常用

これにより肝鎌状間膜の柔軟性が低下し、胸郭や体幹の可動域が狭まります。その結果、肩や肘、腰や膝に代償動作が生まれ、痛みや障害のリスクが高まるのです。

3. 疲労・集中力への影響(エビデンス)

科学的研究でも、肝機能と運動パフォーマンスの関係が示されています。

  • 慢性肝疾患患者は疲労度が高いほど握力や歩行速度が低下 (Ekerfors et al., 2019)。
  • 脂肪肝患者では疲労と筋力低下が相関 (Sheptulina et al., 2025)。
  • 運動介入によりNAFLD患者の肝酵素値・肝脂肪量が改善 (Smart et al., 2018)。

これらの研究からも、「肝臓の状態がスタミナや集中力を左右する」ことが裏付けられています。


ゴルファーのための肝臓ケア

飲酒コントロール

「ラウンド後のビール」は楽しみですが、翌日のパフォーマンス低下を避けるため適量を守ることが大切です。

睡眠の確保

肝臓は夜間に修復機能が最も活発化します。睡眠不足は肝臓の回復を妨げ、慢性疲労の原因になります。

体幹トレーニングと呼吸法

腹圧を高める呼吸や体幹トレーニングは、肝臓周囲の血流を改善し、胸郭の可動性を高めます。

定期的な運動習慣

有酸素+筋トレは肝機能改善に効果的 (Wu et al., 2024)。結果的に飛距離アップや安定したスイングにもつながります。


実践エクササイズ:マットピラティス「チェストオープナー」

ゴルフスイングに欠かせない胸郭の回旋を高め、肝臓周囲の可動性にもアプローチできるのが、マットピラティスの代表的エクササイズ「チェストオープナー」です。

やり方

  1. 横向きに寝て、両膝を軽く曲げて重ねる(背骨は真っ直ぐ)。
  2. 両腕を胸の前で重ね、手のひらを合わせる。
  3. 息を吸いながら、上側の腕を大きく開いていくように後方へ回し、胸を天井方向へ開く。
  4. 息を吐きながらゆっくりと元の位置に戻す。
  5. 10回繰り返し、左右を入れ替える。

効果

  • 胸郭・胸椎の回旋可動域を改善
  • 内臓周囲の緊張を和らげ、肝臓・横隔膜まわりの血流促進
  • スイング時のフィニッシュポジションを取りやすくする

専門的視点から

治療家は、第6肋間隙や剣状突起付近を触診し、肝鎌状間膜の癒着の有無を確認します。必要に応じて施術を受けることで、体幹可動性の改善やスイング動作の向上につながるケースもあります。


まとめ

肝臓は「お酒に強いかどうか」を決めるだけの臓器ではなく、スイングの回旋可動性・スタミナ・集中力を支える隠れた主役です。
クラブやスイング改造だけでなく、肝臓ケアやピラティスによる胸郭回旋エクササイズを取り入れることで、健康的に、そして長くゴルフを楽しむことができます。

👉 「飛距離を伸ばしたい」「後半に崩れたくない」と思う方は、次のラウンドまでに肝臓をいたわり、チェストオープナーを習慣にしてみてください。

良い週末をお迎えください。

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