🚴♂️ 自転車と仙腸関節痛の関係 〜振動が腰の奥に与える影響とは?〜
1. 仙腸関節とは?
仙腸関節(せんちょうかんせつ)は、背骨の一番下にある仙骨と、骨盤の一部である腸骨をつなぐ関節です。
体幹から下半身へと力を伝える“橋”のような存在であり、私たちの体を安定させる上でとても重要な役割を果たしています。
ただし、仙腸関節は他の関節と違って動きがわずかで、安定性を靭帯に依存しているため、繰り返される小さな力や振動に弱い構造を持っています【Vleeming et al., 2012】。
2. 自転車と仙腸関節痛の関係
「自転車に乗ったあと腰の奥が痛む…」という方は少なくありません。
その原因のひとつが、走行中に生じる サドルから骨盤に伝わる振動 です。
(1) 路面からの振動
研究によると、道路のガタガタによる 低周波〜中周波の振動(5〜20Hz程度) は、腰椎や骨盤に強い負担をかけ、仙腸関節周囲の靭帯や関節包に微細な損傷や炎症を起こすリスクが高いとされています【Bovenzi & Hulshof, 1999】。
(2) 前傾姿勢の影響
サイクリングでは前かがみの姿勢で股関節を深く曲げた状態になります。この姿勢は、仙腸関節の後ろ側にストレスを集中させ、長時間続くことで痛みの引き金となります【Laslett, 2008】。
(3) 神経の過敏化
仙腸関節周囲には神経が豊富に分布しています。振動やストレスが繰り返されると、神経が敏感になり、ちょっとした動作でも痛みを感じやすくなる「神経過敏化」が起こることも知られています【Cohen, 2005】。
3. 予防・改善のためのポイント
仙腸関節痛を防ぐためには、次の工夫が効果的です。
- 振動対策:サドルやタイヤを振動吸収性の高いものに変更する
- ポジション調整:サドルの高さやハンドル位置を正しく合わせる
- 体の強化:骨盤を支える体幹・お尻の筋肉を鍛えて関節を安定させる
4. まとめ
自転車は心肺機能を高め、健康づくりにとても効果的な運動です。
しかし、正しい知識とケアを取り入れないと、腰や骨盤に負担がかかり「仙腸関節痛」というトラブルにつながることがあります。
当スタジオでは、科学的根拠(エビデンス)に基づいた運動療法を取り入れ、仙腸関節痛をはじめとする腰の不調改善をサポートしています。
「腰の奥が痛む」「自転車に乗ると腰がつらい」と感じる方は、ぜひ一度ご相談ください。