膝関節と全身の関係

痛みの本当の原因は“膝そのもの”だけではない

膝の痛みや違和感は、年齢に関係なく多くの方に起こる悩みです。
「年だから仕方ない」「体重のせい」と思われがちですが、実際には、
膝以外の部分が原因で膝が痛くなっているケースが非常に多い
ということがわかっています。

本記事では、膝と全身のつながりを、専門用語を使いすぎずに丁寧に解説します。


1. 膝は“股関節と足首のあいだで働く関節”

膝は、太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)、そして膝蓋骨(お皿)で構成されています。

構造的な特徴として、膝は
自分だけで動きをコントロールするよりも、股関節と足首の影響を強く受ける関節
です。

そのため、以下の状態があると膝に負担がかかります。

・股関節が固い
・足のアーチが崩れている(扁平足・外反母趾など)
・体幹が弱い
・姿勢が崩れやすい

膝は、身体の中で“負担の逃げ場になりやすい場所”と言い換えることもできます。


2. 歩く・立つときに大切な「膝のわずかなひねり」

膝が伸びきる瞬間、スネの骨が少し外に回る動作が起こります。
これを「スクリューホームムーブメント」と呼びます。

これは難しい言葉ですが、内容はとてもシンプルで、
膝を安定させるための、最後の微調整の動き
です。

この動きがスムーズに働くと、
・立っている時に膝が安定する
・歩幅が広がる
・歩く時のふらつきが減る
といった良い変化が起こります。

姿勢の崩れや足首の硬さがあると、この“微調整”が働きづらくなり、膝に余計な力が入ります。


3. 膝のお皿(膝蓋骨)は小さな動きで膝を守っている

膝蓋骨は、膝を曲げると下へ、伸ばすと上へ動きます。
実はそれだけでなく、内側・外側、さらには角度の微調整も行っています。

この動きが固まってしまうと、
・膝の前側の痛み
・太ももが張りやすい
・階段の下りで膝がつらい
といった症状が出やすくなります。

特にデスクワークで太ももが硬い方は要注意です。


4. 膝の痛みの多くは“膝以外の問題”が原因

膝痛の原因として多いのは、膝そのものではなく、
膝を取り巻く環境の乱れです。

具体的には、
・股関節の硬さ(特に内旋の不足)
・足部アーチの低下
・体幹の不安定
・姿勢の崩れ
・歩き方のクセ
これらが膝の痛みを引き起こす大きな要因になります。

言い換えると、
膝は“全身のバランスの結果”を受けているだけ
なのです。


5. 膝を守るために今日からできること

膝を改善するには、膝だけでなく全身を整えることが重要です。
以下の3つが特に効果的です。

1. 股関節の可動域を広げる

特に内旋(内側に回す動き)が不足していると膝がねじれやすくなります。

2. 足裏のアーチを整える

足の土台が整うと、膝のねじれが自然と減ります。

3. 太もも前・外側の緊張をゆるめる

膝蓋骨の動きが改善し、膝の前側の痛みが軽減しやすくなります。


まとめ

膝の痛みは「膝だけ」の問題ではありません。
身体の使い方、姿勢、股関節や足の状態を整えていくことで、膝は自然に軽く動くようになります。

一つひとつの改善が積み重なると、
・歩くのが楽になる
・階段が怖くなくなる
・趣味のスポーツに戻れる
こうした変化が確実に起こります。

膝の不調を感じたときは、ぜひ「身体全体」で考えてみてください。