首〜鎖骨まわりが詰まると手がしびれる?それ「胸郭出口症候群(TOS)」かもしれません
「肩こりがひどい」だけではなく、
- 腕がだるい
- 指先がしびれる
- 腕を上げると症状が増える
- 手が冷える、色が変わる気がする
こうした症状がある場合、首と鎖骨の周辺で神経や血管が圧迫される「胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome:TOS)」が関係していることがあります。Mayo Clinic
胸郭出口(きょうかくでぐち)ってどこ?
胸郭出口は、ざっくり言うと「首の付け根〜鎖骨の周辺」で、腕に向かう**神経(腕神経叢)や血管(鎖骨下動静脈)**が通る“通り道”です。ここで圧迫が起きると、首・肩の痛みだけでなく、腕〜手にかけてしびれなどの症状が出ます。Mayo Clinic+1
TOSは3タイプ(症状が違う)
TOSは「何が圧迫されているか」で大きく3つに分けられます。ミシガン大学健康+1
1)神経性TOS(最も多い)
- 首・肩・腕の痛み、しびれ、ピリピリ感、握力低下など
(腕神経叢が圧迫される)PubMed+1
2)静脈性TOS
- 腕の腫れ、重だるさ、色の変化など(血流の問題)PubMed+1
3)動脈性TOS
- 冷え、脈の変化、血流障害(まれだが重要)ミシガン大学健康+1
※本記事は、相談が多い「神経性TOS(しびれ・だるさ)」を主に扱います。
なぜ起こる?よくある原因は「姿勢×呼吸×使い方」
TOSは、骨の形(頸肋など)や外傷が原因になることもありますが、日常では「慢性的な姿勢・反復動作」が関与するケースが多いとされています。OrthoInfo+1
特に多いのがこの組み合わせです。
- 巻き肩・なで肩で鎖骨まわりのスペースが狭くなる
- **胸が硬い(小胸筋の緊張)**で前側から圧迫が増える
- 呼吸が浅い→首の筋(斜角筋など)が頑張りすぎ、神経の通り道が狭くなる
- デスクワークやスマホ、腕を上げる作業の反復
つまり「首だけ」「肩だけ」の問題ではなく、胸郭(肋骨)・肩甲骨・呼吸まで含めた“全体の使い方”が影響しやすい領域です。
まず大事:危険サインがある場合は医療機関へ
以下がある場合は、自己判断で引っ張ったり我慢せず、医療機関で評価を受けてください。
- 腕の腫れが強い/急に悪化した
- 手の色が明らかに変わる、冷える、脈が弱い感じがする
- 日常生活に支障が出る筋力低下(物を落とす等)
血管系TOSは重篤な合併症につながることがあり、神経性でも鑑別が重要です。PubMed+2Mayo Clinic+2
エビデンスとして「まずは保存療法(特に理学療法)が基本」
多くの情報源で、TOS、とくに神経性TOSは保存療法(理学療法・運動療法)から開始することが推奨されています。Cleveland Clinic+2ChoosePT+2
またレビュー研究でも、運動・理学療法は症状軽減に役立つ可能性が示される一方、研究の質やばらつきの問題も指摘されています。サイエンスダイレクト+1
結論としては「誰にでも同じメニュー」ではなく、評価に基づく個別最適化が重要、という方向性になります。
自宅でできるセルフケア(安全重視・3本柱)
ここからは「悪化させない」ことを前提に、一般の方が取り組みやすい内容だけを載せます。
① まず姿勢:鎖骨を“横に長く”
胸を反らすより、
- 顎を軽く引く
- 首を長く
- 鎖骨を左右に広げる
この意識で、首・鎖骨周辺のスペースを確保しやすくなります。
② 呼吸:吐くを長く(首の頑張りを下げる)
浅い呼吸で首が頑張りすぎると、通り道が狭くなる方向に働きやすいです。
鼻から吸って、口から細く長く吐く。肋骨が静かに動く感覚を優先します。
③ 胸の前:小胸筋まわりを固めない
巻き肩が強い方は、小胸筋付近が硬くなりがちです。
壁に手をついて胸を軽く開くストレッチは有効です(痛み・しびれが増える場合は中止)。
※しびれが強い日は、強いストレッチやゴリ押しのマッサージは避けてください。
当スタジオでの進め方(評価→原因整理→処方→定着)
TOSは「首を揉む」「肩を回す」だけでは改善しないことが多いため、当スタジオでは次の流れで組み立てます。
- 症状の出る姿勢・動作の特定(腕を上げる/PC姿勢など)
- 胸郭・肩甲骨・頚部の連動評価(どこが硬く、どこが働きすぎか)
- 呼吸・姿勢・肩甲帯の再教育(負担を分散させる)
- 日常動作・仕事・スポーツに落とし込み(再発しにくい形へ)
保存療法が基本という考え方に沿いつつ、あなたの生活に合わせて“続く設計”にします。Cleveland Clinic+1
まとめ
- 胸郭出口症候群(TOS)は、首〜鎖骨付近で神経・血管が圧迫されて起こる状態です。Mayo Clinic+1
- 多くは神経性TOSで、しびれ・だるさ・痛みとして現れます。PubMed+1
- まずは**保存療法(理学療法・運動療法)**が基本で、評価に基づく個別対応が鍵になります。ChoosePT+2PMC+2
- 腫れや色変化などがある場合は、医療機関での評価を優先してください。Mayo Clinic+1
本牧・横浜エリアで「手のしびれ」「腕のだるさ」「巻き肩・猫背」を根本から整えたい方は、体験で一度、動きと呼吸を含めて評価します。ご相談ください。

