殿筋(お尻の筋肉)が弱くなると、体に何が起こるのか?
〜歩きづらさ・腰や膝の痛みの意外な原因〜
「最近、長く歩くと疲れる」
「片脚で立つと不安定」
「腰や膝が痛いけど、年齢のせいだと思っている」
こうした悩みの背景に、お尻の筋肉(殿筋)の筋力低下が関係していることは、あまり知られていません。
実は殿筋は、歩く・立つ・体を支えるためにとても重要な筋肉です。
殿筋は「歩行の土台」
歩くとき、私たちは必ず片脚で体重を支える瞬間があります。
そのときに働いているのが、お尻の横にある「中殿筋」という筋肉です。
この筋肉の役割はとてもシンプルです。
- 骨盤がグラグラしないように支える
- 体が横に倒れないように安定させる
つまり殿筋は、体のバランスを保つための土台のような存在です。
殿筋が弱くなると起こること①
歩くと体が揺れる・疲れやすくなる
殿筋が弱くなると、片脚で体を支えきれなくなります。
すると、
- 歩くたびに体が左右に揺れる
- 無意識に上半身を傾けてバランスを取る
- 歩くのに余計な力を使う
この状態が続くと、**「すぐ疲れる」「長く歩けない」**という感覚につながります。
これは「年齢の問題」ではなく、筋肉の支える力が落ちているサインであることが多いのです。
殿筋が弱くなると起こること②
腰や膝に負担が集まる
殿筋がうまく働かないと、本来お尻が受け止めるはずの負担を、
- 腰
- 太もも
- 膝
が代わりに引き受けることになります。
その結果、
- 腰が張る・重だるい
- 膝が内側に入って痛くなる
- 歩いた後に脚全体が痛む
といった症状が出やすくなります。
研究でも、殿筋の筋力低下が腰痛や膝の痛みと関係していることが報告されています。
殿筋が弱くなると起こること③
転びやすくなる・不安感が強くなる
殿筋はバランスを保つ筋肉でもあります。
弱くなると、
- 片脚立ちが不安定
- 段差や坂道が怖い
- とっさに踏ん張れない
といった状態になります。
これは転倒リスクの増加にもつながるため、特に中高年の方にとってはとても重要なポイントです。
「痛い場所」=「悪い場所」ではない
多くの方は、
- 腰が痛い → 腰が悪い
- 膝が痛い → 膝が悪い
と考えがちです。
しかし実際には、お尻の筋肉が弱くなった結果、腰や膝が頑張りすぎているケースが非常に多く見られます。
つまり、
原因は「お尻」、症状は「腰や膝」
ということが起こっているのです。
まとめ
殿筋は「動ける体」を守る要の筋肉
殿筋の筋力低下は、
- 歩きにくさ
- 疲れやすさ
- 腰・膝の痛み
- 転びやすさ
など、日常生活の質に大きく影響します。
そして大切なのは、
正しく鍛えれば、年齢に関係なく改善が期待できるという点です。
「最近、歩くのがつらい」
「昔より安定感がない」
そう感じたら、それは体からのサインかもしれません。
歩行などにお悩みの方はご相談ください。

