骨盤のお悩みに対しての運動方法

女性のお悩みとして、少なくないのが「股関節、骨盤の歪み・痛み」だと思います。

日常の姿勢、産後のケア不足などによってこれらの問題が生じやすくなるかもしれません。

例えば、妊娠中の妊婦さんは歩行時や立っている時など安定度を向上させる為に、ややガニ股気味になります。

これは股関節が外旋方向に向くような形になりますので、それに伴い関わっている筋肉や姿勢にも変化が生じます。

内閉鎖筋(ないへいさきん)

股関節を外旋させる筋肉のうち、特に内閉鎖筋(ないへいさきんという筋肉:obturator internus)という筋肉は、骨盤底筋群の一つである腸骨尾骨筋との連結がある為、内閉鎖筋が常に緊張してしまうと骨盤底筋群の働きを阻害してしまう可能性がありますので、結果的に「頻尿や尿もれ」もお悩みが出やすくなる可能性があります。

梨状筋(りじょうきん)

股関節を外旋させるもう一つの代表的な筋肉は梨状筋(りじょうきん:Pieiformis muscle)の存在があります。

この筋肉もガニ股の状態ですと、常に短縮されているような形になってしまいます。

梨状筋のその他の作用として、仙骨を起き上がれせる作用があります。

仙骨が起きた状態になると、骨盤の要でもある仙腸関節(せんちょうかんせつ)が不安定な状態となってしまいます。

仙腸関節が不安定な状態になると、骨盤は腰の痛みに繋がるケースも少なくありません。

これに加えて、梨状筋が短縮して仙骨が引っ張られることで、やはり骨盤底筋群の本来の働きを阻害するような形となります。

そのため、この二つの筋肉の過剰な緊張を改善する為の運動がお勧めです。

これらの緊張を改善させる運動はピラティスのエクササイズがどなたでも行いやすいので、お勧めです。

内転筋(ないてんきん adductor muscle)

その他に、股関節の動きに関与する大きな筋肉であります「内転筋群」もまた骨盤底筋と繋がっています。

具体的には骨盤底筋の第一層と筋膜を介して内転筋群は繋がっています。

例えば、左側の内転筋群が短縮していて緊張が強い場合、連結している左側の骨盤底筋群は引っ張られていますので、やはり本来の働きが出来ず機能低下が起きてしまいます。

その他、内転筋群は恥骨に繋がっていますので片側の内転筋群が短縮することで、恥骨が下方に引っ張られて「恥骨痛」の原因になる可能性もあります。

腸腰筋(ちょうようきん iliopsoas)

大きな筋肉の「腸腰筋」という筋肉も骨盤底筋群の不具合との関連性も考えられます。

なぜなら、腸腰筋と横隔膜は「内側弓状靭帯(ないそくきゅうじょうじんたい)」で手を組んでいる形で繋がっておりますので、横隔膜の下に位置している腸腰筋が硬くなることで、横隔膜を下に引っ張り、横隔膜の働きを低下させてしまいます。

元々、横隔膜と骨盤底筋群の間には内臓が存在していますので、横隔膜の働きが低下すると内臓の動きにも影響が起きて、内臓を支えている骨盤底筋群にも影響を及ぼしてしまいます。その為、横隔膜の働きの低下によって結果的に骨盤底筋群の働きが低下する可能性が高くなります。

左から骨盤中間位、骨盤前傾位、骨盤後傾位

そして、最後が姿勢と骨盤底筋との関係性についてです。

上の図のように、骨盤の傾き加減というものが存在します。

左から骨盤中間位、前傾位、後傾位となっています。

一番理想的なのが、骨盤中間位であり、過剰な前傾や後傾は骨盤底筋群の働きを阻害することに加えて、腰痛や股関節の問題を引き起こすことになりますので、ピラティスエクササイズなどで、修正していくことは必要となります。

骨盤が中間位になることで、それに伴い骨盤底筋群はほぼ水平の位置を保つ事ができて、骨盤底にかかる圧も分散されますので、本来の骨盤底筋群の機能が発揮出来ます。

それに対して、骨盤が前傾位になりますと、骨盤底は前側への圧力が増大して、恥骨へ膀胱が乗り上げてしまい押し付けるような形となってしまいますので、結果的に頻尿などの症状に繋がりやすいことが予測できます。

また、骨盤の後傾位が過剰になると後方への圧力がかかる為、内臓を必要以上に下の方向へ行かせない為の筋肉の働きが弱まる事につながります。

その他、「足を組む」「どちらからの足に体重を乗せる」などの習慣がある場合も骨盤底筋群の機能不全に繋がってしまいます。

では、これらの姿勢や筋肉の使い方の偏りに対して、骨盤底筋群に対してエクササイズをする時によく行われているのが、「両膝の間にボールを挟んでのお尻上げエクササイズ」だと思います。

骨盤底筋群を鍛える為によく行われるお尻上げエクササイズ

しかし、このエクササイズは万人に通じるわけでなく、大切なのは「臓器がどの重力方向にかかっているのか」「臓器が重力に逆らっていない方向」を考慮してエクササイズを選択していくことであります。

人によっては骨盤周囲の機能に違いがありますので、それを見極めてエクササイズの選択をしていく事ができれば、問題解決に対する速度も変わってくると当スタジオでは考えております。

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