🍷 飲酒と股関節痛の関係 ― 最新エビデンスから学ぶ

「お酒は百薬の長」と昔から言われますが、実は飲酒と股関節の病気や痛みには強い関連があることが、多くの研究から分かっています。股関節は体を支える大きな関節なので、痛みや変形が進むと歩く・立つ・階段を上るといった日常生活が大きく制限されます。ここでは、**エビデンスに基づいて「お酒と股関節の関係」**を分かりやすくご紹介します。

1. 大量飲酒と「大腿骨頭壊死」

股関節の奥にある大腿骨頭(太ももの骨の丸い部分)が壊れてしまう病気を「大腿骨頭壊死(ONFH)」といいます。これは、血流が途絶えて骨が死んでしまう病気で、強い痛みや歩行障害を引き起こし、人工関節手術になることもあります。

研究では、この病気の原因の80%がステロイド薬の使用とアルコールに関係していると報告されています。特に日本を含む解析では、**毎日お酒を飲む人はリスクが高くなり、飲酒量が増えるごとにリスクが上がる(量反応関係)**ことも示されました。例えば、エタノール100g/週ごとにリスクが約35%増加するとされています。これは日本酒に換算すると約5合程度にあたります。

2. 飲酒と変形性股関節症(OA)

変形性股関節症は、軟骨がすり減って痛みや変形を起こす病気です。

2023年に発表された米国の大規模研究(8.3万人の女性を20年間追跡)では、飲酒量が多いほど股関節の人工関節手術になるリスクが高いことが分かりました。

  • 1日10〜20g(ビール中瓶1本くらい)でリスクが約1.3倍
  • 1日20g以上でリスクがさらに高くなる

飲むお酒の種類(ビール・ワイン・焼酎など)に関係なく、量が多いほどリスクが高まる点も重要です。

かつては「アルコールは関節症を防ぐかも」と言われた時期もありましたが、交絡因子(生活習慣や体格など)を調整すると、その効果は消えてしまうとする研究もあります。

3. 飲酒と股関節骨折

「お酒と骨折」の研究では、J字型の関係が報告されています。

  • 少量(1日ビール1杯程度)なら骨折リスクがやや低い
  • しかし40g/日(日本酒2合以上)を超えると、逆に骨折リスクが上がる

これは飲酒による「転倒リスクの増加」と「骨密度低下」の両方が関係しています。つまり、飲みすぎると骨も弱くなり、転んで骨折しやすくなるのです。

4. 痛風と股関節痛

痛風といえば足の親指の関節が腫れて痛む病気として有名ですが、実はまれに股関節に起こることもあるのです。

長期の研究では、飲酒量が多いほど痛風の発症リスクが高まることが示されており、特にビールやサイダー、蒸留酒でその傾向が強いとされています。

5. お酒と筋肉のトラブル(アルコール性ミオパチー)

実は「股関節の痛み」が関節ではなく筋肉の問題から来ているケースもあります。長期に多量の飲酒を続けると「アルコール性ミオパチー」と呼ばれる筋肉障害が起きやすくなります。

40〜60%の方に骨盤周りの筋力低下や筋肉痛が現れると言われており、飲酒をやめることで改善することもありますが、完全には戻らない場合もあります。

まとめ

  • 大量飲酒は「大腿骨頭壊死」の大きなリスク要因
  • 変形性股関節症も、飲酒量が多いほどリスク増加
  • 骨折リスクは少量なら低下するが、大量では上昇
  • 痛風や筋肉障害を介して股関節に痛みを起こすこともある

つまり、股関節の健康を守るためには「お酒の量をコントロールすること」がとても大切です。特に**毎日2合以上(エタノール40g超)**は危険ゾーンと考えられ、節酒・禁酒が望ましいといえます。

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