朝食の役割

統計を見たことがないので、どのくらいいるか把握していないですが、日本人は朝食を抜く習慣が多くいる印象です。朝食を抜き、朝昼兼用という形が習慣になっている方が多いのではないでしょうか。人間にはサーカディアンリズムというものが存在していて、地球の24時間と体内時計を合わせていくことで、朝、昼、晩の時間と共に代謝の変化が起きてきます。朝起床して、太陽の光を目から感じることで脳の視交叉上核、視床、小脳、延髄などが活性化されて、自律神経やメラトニン、グルカゴン、代謝などの調節を行い、日中の活動の為に、全身の各細胞が活性化されてきます。

生活習慣病予防・改善の為に、ダイエットをしている、あるいはこれからダイエットをしたいと考えている人が心がけておくべきことは「朝・昼・晩によって身体がどのように代謝の変化が起きるのか」「その代謝の変化に伴ってどのような食事のとりかたが必要なのか」ということを把握しておくことです。決して「食べる量を極端に少なくして痩せる」ということではなく、健康を維持しながらダイエットをしていくことが大切です。

朝は起床後、体内のメラトニンが減少して交感神経優位になることで、血圧と体温が上昇してきます。前日の夜の食事から時間が経過しているので、膵島の中にあるアルファ細胞からグルカゴンが分泌されています。グルカゴンは血糖値を上げる役割と同時に、肝臓グリコーゲンを分解する役割を備わっていますので、空腹状態が長く続くと低血糖にならない為に、肝臓グリコーゲンはどんどん分解されてしまいます。その為、朝食抜きで仕事に向かったり、運動を行うことで肝臓グリコーゲンはどんどん枯渇してしまい、落としてはいけない筋肉を分解して、肝臓の糖新生が亢進され、脂肪合成も高まる状態になってしまいます。

このような観点からも朝食をしっかりと食べることが大切であり、全く食べないより、なんでも良いので口に入れた方がお勧めなのですが、「健康的な身体作りをしたい」という場合は、朝食時に肝臓グリコーゲンを回復させる為に、ご飯などに含まれている「ブドウ糖(デンプン類)」を意識して食べるようにしましょう。ちなみに、同じ「糖類」だから、菓子パンや果物などでも大丈夫か、という質問を頂きます。これも食べないよりかは食べた方がプラスになるのですが、果糖や砂糖を食べることで、肝グリコーゲンの枯渇は一時的に抑えられますが、残念ながら果糖や砂糖の食品を口してから、体内での代謝経路は肝臓内にエネルギーとして蓄えることが出来ないので、結果的にこれらの食品を食べれば食べるほど脂肪合成が進んでしまいます。

参考になれば幸いです。

本日は以上となります。