姿勢改善において筋力向上が効果ない可能性がる理由

横浜筋トレスタジオの宮原崇です。

背中が丸まっているという理由で腹筋背筋を鍛えることは姿勢改善においては、ひょっとしたら効果的ではない、というお話です。筋力が絶対的に必要であれば幼児が真っ直ぐに良い姿勢を保てるのはなぜ?という疑問が湧いてきます。しかし、大人にナルト筋肉神話に捉われ過ぎて、姿勢や関節の問題もなぜか、筋力向上だけで問題解決をしようとします。小さい子供でも姿勢よく立てるようになるのは紛れもなく、中枢神経系が発達した証拠であり、決して「姿勢を真っ直ぐしよう!」という随意的な活動によるものではなく、姿勢の制御は中枢神経系によって「不随意的活動」であります。これを無視して、体幹の筋力向上をして、たまたま、その運動が神経系を刺激したことによって、姿勢に改善されることもごく稀にありますが、大概が鍛えた部位の筋力は向上したものの、姿勢改善に至らない、というケースばかりです。「筋力の強弱」「筋肉の柔軟性の有無」「関節の可動域の大小」などで姿勢改善は根本的な問題解決にならない、ということをこれからの説明でご理解いただけるかと思います。

精神的な悩みを抱えていれば人は落ち込み姿勢は前かがみになりやすく、日常の呼吸の仕方や内臓に問題を抱えている場合も守りの体勢になり、スポーツなどで怪我をしてしまった場合も筋肉のバランスを取るために、姿勢が変化する、という例外はありますが、それ以外に一般的に不良姿勢に対して、先ず評価して運動で介入していく必要があるのが先ほどお伝えした「神経系」です。中枢神経系は常にその人の能力に合わせて「どの筋肉を緊張させて、どの筋肉を抑制するか」ということをコントロールしています。神経系で姿勢に関与するものは「網様体脊髄路(もうようたいせきずいろ)」「赤核脊髄路(せきかくせきずいろ)」「前庭脊髄路(ぜんていせきずいろ)」「脊髄視床下路(せきずいししょうろ)」などになります。「網様体脊髄路」は体幹の姿勢、「赤核脊髄路」は両手両足を曲げる為の筋肉を活性化させ、「前庭脊髄路」は両手両足を伸ばす筋肉を活性化させる、「脊髄視床路」は痛みに関わり、これらが統合された結果、その人の姿勢の状態が決まってきます。この中でも特に「前庭脊髄路」を活性化させることが姿勢改善において大切な要素となります。

これらの要素を考慮すると、フィットネスクラブなどで「姿勢改善」の為に「背中の筋肉を鍛えましょう」「硬い筋肉は伸ばして、弱い筋肉を鍛えましょう」という指導やプログラムを提供しているのは、運動した気になって気持ちはすっきりするかもしれませんが、本来の目的である「姿勢改善」は全く達成されていない事が理解出来ます。これからの超高齢化社会において、本当に必要な運動方法や理論がどれだけ一般の方に普及できるかが大切だと、個人的に考えています。

少しでも参考になれば幸いです。

本日は以上となります。