月経困難症とセルフケア

女性には「月経困難症」というものが存在します。「原発性(機能性)月経困難症」と「続発性(器質性)月経困難症」の2つに大別されます。

この月経困難症は、月経の期間中に「頭痛」「吐き気」「疲労」「脱力感」「食欲不振」「精神的なイライラ」「腹痛」などの症状が現れます。

もう少し、細かく見ていきましょう。

原発性(機能性)月経困難症の概念は「原因となるような器質的疾患がない」とされていますが、身体の中では「子宮頚管の狭小」「子宮の過剰な収縮」などが原因だと推測されています。

発症年齢に関しては、割と初経後間も無く発症されて、月経開始後1〜2日くらいで症状が軽くなる傾向があります。また、加齢に伴い徐々に症状が軽くなり、妊娠や産後は症状が消失するケースもあります。

一方で、続発性(器質性)月経困難症に関しては「器質的疾患が原因で症状が出る」とされています。

その原因とは「子宮内膜症」「子宮筋腫」であり、発症年齢の多くは20代半ばが多く、月経終了まで症状が続きますが、子宮内膜症の場合は妊娠・産後と共に症状が軽快になるケースもあります。

国が調査した「月経痛で医療機関を受診した女性の疾患別推定患者率」によると「機能性月経困難症は46.4%」「子宮内膜症は14.7%」「卵巣機能不全は13.5%」「子宮腺筋症は13.3%」が「子宮筋腫は12.8%」となっています。

1年間の月経痛を主訴としている女性推定患者数は約90万人であり、20~30歳代の女性が多く、年齢が高くなるにつれて月経痛の程度が軽くなる傾向があります。

月経痛に対して、当然発生機序というものが存在します。

卵胞発育あるいは排卵から始まり、エストロゲン=卵胞ホルモンやプロゲステロン=黄体ホルモンの分泌によって、子宮内膜の増殖が起きることで子宮内膜に「プロスタグランジンの増加」が起きます。

「プロスタグランジン」とは、月経痛の強弱に影響を与える物質となりますので、この物質の分泌量によって月経痛の強弱が左右されていきます。

プロスタグランジンが増加することで、子宮の収縮によって月経痛が始まるという仕組みとなりますが、プロスタグランジン自体の働きをより詳細に見ていきますと、「子宮の収縮を促して経血を体外に排出させる」「血管収縮作用によって子宮への血流量を減少させる」「子宮内の神経を痛みに過敏させる」という機能が備わっています。

それでは、冒頭で述べました「原因となるような器質的疾患がない」とされている「原発性(機能性)月経困難症」についてより詳しく見ていきましょう。

原因が明確でないとされている中でも「姿勢のアライメント不良」「長期化されたストレス」が大きな影響を与えているとも考えられています。

骨盤の過剰な前屈・後屈によって、骨盤に収まっている内臓は下の方へ圧迫されやすくなる傾向があります。この不良姿勢によって、呼吸の主役である横隔膜の可動性低下などに繋がり身体の外見的にも内面的にも機能不全が起きやすくなります。

骨盤が過剰な前傾が起きていることで、骨盤底のハンモック構造は前側に圧力が増大して、恥骨上方へ膀胱が乗り上げるような形になり、膀胱が常に刺激をされるような状態になります。逆に骨盤が過剰に後傾することで、骨盤底のハンモック構造は後方への圧が増大して、骨盤壁構成筋群が過剰に短縮をされてしまいますので、女性のお悩みとなる様々な症状を誘発してしまいます。骨盤のアライメントが理想的な位置にあることは、骨盤内の臓器が正常に機能する上でも大切な要素となります。

実際に骨盤の左右対称がある方が子宮を含む経血排出路は道筋がスムーズであり、経血排出のために子宮を過剰に収縮させる必要がないので、月経痛の緩和にも繋がるという報告もされています。

その他に「骨盤内の血流改善」も非常に大切な要素となります。

なぜなら、骨盤の血流改善によって、月経痛の緩和が出来ると考えられているからであります。つまり、運動も骨盤内の血流改善にも役立つということであります。

運動を行うことで、内腸骨動脈の血流増大に繋がります。そして、内腸骨動脈から派生している子宮動脈の血流の増大にも繋がります。そうすることで、卵巣の血流増大や血管を新生させることが可能となり、結果的に原発性困難症に予防・改善につながりやすくなります。ちなみに内腸骨動脈から枝分かれして、子宮動脈と同じように血流供給を受けている筋肉は「腸腰筋」「骨盤底筋群」「殿筋群」「腹横筋」という筋肉であります。

これらの筋肉はピラティスエクササイズでよく出てくるものでもありますので、エクササイズが上手になることで、月経痛の改善に繋がる可能性もあります。

実際に女性で継続的にトレーニングをされている場合「ホルモンの変化に合わせた身体の使い方」という観点もお勧めです。

例えば、卵胞期には低く、排卵後には高く分泌される「リラキシン」というホルモンがあります。

このホルモンは特殊な高分子量ホルモンであり、エストロゲンと共にヒアルロン酸を分解させるという特徴を持っています。月経前にリラキシンが分泌されることで、骨盤周囲や他の部位は緩みやすくなりますので、この時期には筋トレなどの強度の高い運動ではなく、ピラティスやストレッチなどの緩い運動でコンディションを整えて、月経後に全身が緩みから引き締めに変化する時期に強度を少しずつ上げていく運動が、月経周期を調子良く過ごす要素になるかと思います。

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